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劇団民藝 「巨匠」 [演劇]

「さあ、お前なら、どうする?」
そう問いかけられた気がした。
私なら・・・

劇団民藝12月公演「巨匠」

あれから数日が過ぎたが、あの深く重みのある舞台を、まだ私は全身で全てを受け止めきれておらず
闇の中を彷徨っている。

廃校に避難をしている人たちの中のひとり・・・年老いた俳優。
報復として、4人の知識人を射殺するためにやってきたゲシュタポ。
ひとりひとり、身分証明書を確認され対象者は「死」が待つのみ。
年老いた俳優は、簿記係と身分証明書には記されていた。
対象から外れた彼は、「自分は俳優だ」と主張し食い下がる。
彼は、彼自身が研究を重ねた「マクベス」のモノローグを俳優としての一世一代の舞台をその場で演じた。
そしてゲシュタポに俳優であることを認めさせる。

俳優というプライドを守り抜くことを選択すると待つものは「死」

危機的状況であり極限状態の中で迫られる選択。

今の時代に、なんとなく当たり前の平和に甘え過ぎて暮らしている私(たち)。

今から「マクベス」を演じる若き俳優へ叫んだ演出家の言葉。
「やってください!あんたのやりたいように!」
この言葉の奥に、こんなメッセージが込められてると感じた。

「さあ、お前ならどうする?」

果たして、私は危機的な状況の下で自分のプライドを守り抜くことができるだろうか?

答えは、まだ見つからない。
だけど、あの危機的状況がいつ起きてもおかしくない世の中へと進んでいる気がする今の時代。

「巨匠」というこの舞台は、私(たち)に、今の時代、この国そして世界の現実に目を向け、
しっかりと生きろと警鐘を鳴らしていると感じた。

劇団民藝の舞台は、いつも私にたくさんのことを学ばせ、考えさせてくれる。

私が私として、この先も生きていくための道標。
しっかりと考え、歩んでいきたい。

最後に私からあなたへ・・・
危機的状況、極限状態の下での選択。
「さあ、あなたなら、どうする?」
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〜追記〜
今年は、「カストリ・エレジー」「ローズのジレンマ」「巨匠」と
劇団民藝の東京公演を3作品観劇することができた。
感謝しかない。
しかし、「カストリ・エレジー」と「ローズのジレンマ」の感想を
ブログにアップすることを忘れてた(ごめんなさいm(._.)m)
近日中にアップします!と自分に圧かけてみました笑
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劇団民藝「夏 南方のローマンス」~私的解釈~ [演劇]

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2018年3月だった。

「夏・南方のローマンス」

その時は、すごく怒りを感じたのを覚えている。
その翌年、北九州市民劇場の5月例会で再びこの作品を観劇することになる。

終盤の女漫才師が放つ銃声・・・

私の中での解釈は、「過去の思い出、現実の受け入れ、未来への希望」を表していると感じた。
そしてこの夏、首都圏で演劇鑑賞団体の巡演で再演された。
思い入れのある作品でもあるので、原作そしてパンプレットを改めて読み返した。
そこで、あることをふと思った。

間違っている解釈かもしれないけれど・・・

もちろん、女漫才師と上等兵の妻、ふたりはそれぞれの立場でいるのだけれど、互いの裏の思いは、表裏一体しているのではないかと思った。
なぜ、そう思ったかというと、舞台を観るときに、自分自身をその世界に移入して、脳内でその役の気持ちになり、おかしな話だけど、あたかも自分がそこにいて、客観的にそれを観ているような感じになる。
過去の記憶も辿っていくと、この作品の場合は、何度か観劇したが、女漫才師に移入することが多く、納得のいかない現実に対して怒りを感じ、なんなら、終演後、生還した元兵士に食って掛かりたいくらいでしたが、その思いの中に、私には、ひとしずくだけ、上等兵の妻の思いもありました。
なので、もしかしたら、上等兵の妻の心の奥底には、女漫才師と同じ思いがあったかもと思うようになりました。

シーンとした場面で、かすかに聞こえる砂を踏む音・・・

こだわった舞台装置・・・


今、このコロナ禍の中、公演が中止になったり、座席数を減らしての公演だったり、または配信での公演だったりと演劇に限らず、アーティストのコンサートなども思うようにできない環境下にあります。

一昨年まで当たり前だったことが当たり前でなくなる世の中になりました。

とはいえ、ライブ(生)に勝るものはないと私は思います。

舞台上の空気、熱、演者の息づかい、セットの音、客席の空気・・・いろんなものが混ざり合い、ひとつの作品になると確信しています。

1日でも早く、終息し、以前のような日々に戻ることを祈ります。
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